好きなものを好き勝手

熱しやすく温く続く趣味の考察とか

オーチャードマサユキサカモトに行ってきた

2016年2月6日

19:00 開演

 

ソロ・ミュージカルコンサート

One Man Standing

 

 

◆◇◆◇◆

(読み飛ばし推奨の自分語り)

ジャニーズのひとを追っていて、オーチャードホールに足を踏み入れることになるとは思わなかった。

恥ずかしながら、ジャニーズ素人な私は、ジャニーズ事務所が舞台というものに力を注いでいることを知らなかった。(野球にも並々ならぬ想いがあることも知らなかったけど)アイドルがこんなにも多くの舞台に出演していることを知らなかった。タッキーや光一さんがなにやら凄いことをやってるらしいことはボンヤリと知っていたけれど、何がどう凄いのか分からなかったし、実のところ今もよく分かってない。

かえって舞台に詳しければ会場の規模や演目内容などで、その凄さを知ることができたかもしれないけれど、残念ながらそういう人生を歩んで来なかった。ほんと残念。

そんな私でもときおりCMで耳にしていたオーチャードホール。情報解禁とともにザワついてる人たちを見て、どんなところか調べた。なんか由緒ある凄いところらしいことがわかった。そしてそれと同時に、またしてもV6お得意の「ジャニーズ初」を樹立してしまったことを知った。普通にお祝いした。猛烈に行きたいと思った。でもFC入ってない。諦めた。一般先行の話がもたらされた。でも、ほら。ツイッターでも協力仰いでる人たち見かけるし。無理じゃん。

でも。

登録くらいは、したい。

親には恥ずかしくて頼めなかった。

自分のケータイと家電を、ぴあ/イープラ/ローチケそれぞれ申し込んでみた。

確認の日、忘れもしない。一発目で当選の報を聞いたあの瞬間と、その後にきた全身の震え。嗚呼、ぴあ様! かくしてビギナーズラックを証明するかたちでOMS2016に行くことが叶った。

 

しかし、オーチャードホール。場所も詳しく知らなかった。調べた。迷子の可能性を考慮して、下見に行った。無限大ホール近かった! すげー! 知らなかった! 日にちが近くなり、美容院に行った。髪を染めなおすために。(公演の有無に関係なく行かないとマズいくらいだったし、美容師さんにも「次はもっと早めにおいで」と注意される始末)

そんな感じで迎えた当日。珍しくネタバレを避け(楽曲知らないくせに)、初めて双眼鏡を買い(店員さんのオススメを即決)、てんやわんやして座席に着いたとさ。

 

めでたしめでたし。

 

 

◆◇◆◇◆

すでに脳内補完とすり替えが侵食してしまっているので真に受けないでね!

レポのつもりで書いてないからね!

 

真っ赤な緞帳がさっとあいて、煌めく楽器を構えるビッグバンドの影と、次々に現れるダンサーの跳ね回る影が、本当に始まってしまったのだと実感させる。昨年からずっと焦がれていた夢の会場の中に、本当に居合わせてしまったのだと。

有難かった演出は、ステージ上部の幕にその作品名、上演年、曲名を表示してくれていたこと。シンプルだけど、いま思えばパンフレットすら無い中、こういう提示の仕方はなんだか洒落てるなぁと思う。

トークもたっぷりあって、歌の中にお遊びもあり、こうめいさんが予告していたように「いつもの」彼を見ることもできて、楽しかった。なにより、ミュージカル人生を自分で振り返りふりかえり、しみじみと語る姿が「ミュージカルを愛する男」を表現していて、開演してすぐに胸がいっぱいになった。

One Man Standingを本人が一番喜んで、一秒一瞬幸せを噛みしめているんだと、多分誰しもが感じられたのではと思う。MCのたびにというくらい何度もOMSを演れることに感謝を述べていた。ファンにも、こういったコンサートを望んでくれてありがとうと。そうして口角を引き上げ、お手本のような逆三角形の口で、物語を歌っていた。

 

ロックなメドレーでも見とれていたけれど、中盤のクラシカルなダンスで一層際立つひらりひらりとした大好きな踊り方。滑らかな指先。手首や肘、膝といった関節の柔らかな動き。いつもイヤミなくらい持て余している長い腕や脚を優雅に使っていて、表現変かもしれないけど、「体」が解放されたように見えて気持ちよさそうだった。真横を向いたまま階段を下りるのだけでもうわーって思った。

アクセントのような指ぱっちんは小粋にもほどがある。

日本人を放棄したスタイルの良さ。出演者の誰よりもシルエットが美しい。V6はシルエットでも魅せられるところが素晴らしいと思うんだけど(何が何でも表情が見たい! とは不思議と思わない。見れたらそれはそれで嬉しいけど)、やっぱり素敵。私なんかはシルエットで満足してしまうくらい、成立していた。いのっちがカッコよく使えないんだと訴えていた靴ベラでの履き替えも男性的で好きなシーンだったな。

スーツも燕尾服(蝶ネクタイ!)も最高の衣装だった。

極め付け、階段の上でひとりタップを踏み、ダンサーさんが追いかけ、それが重なっていき、空気がどんどん圧力を増して緊張感がすごくて、目も体も固まってしまった。過去のコンサートDVDとか見て、簡単に「タップ見たいな~」とか思ってた自分を反省する。タップダンスの張りつめ方は尋常じゃないのだと、生でみて初めて知った。軽やかに華麗に様々なダンスを踊りこなしていく坂本さんが、いくつもの役を通して培ってきたすべてを魅せてくれているのだなと感じた。

音楽が始まればその都度彼は役者になり、音楽が終われば何てことないように坂本昌行になる。

あまりに耳心地の良い歌声に、不躾な行為かしらと思いながら双眼鏡で覗くと動きながら歌い続けているのにブレスはまったく気にならない程落ち着いていて。肩も上がらず…なんて書くとミュージカル俳優なめてんのか、坂本さんをなめてんのかと思われそうだけど、純粋に人間として凄い! と思った。本当は、きっとMC中のゼエゼエしているのが本当なんだろう。俳優、とか舞台にたつ人たちの仕事は、そういうことなんだと圧倒された。そして、今まで観てきた舞台に反省した。もっともっと真剣に観られたはずだと。努力を感じろっていう話じゃない。全精力を懸けて伝えようとしてくれるすべての俳優に、客として同じくらいの受け止める体制をとってもいいんじゃないかと思った。

 

終盤にすすむにつれ、MC中は喉の調子が不安になる場面もあったのに、歌い始めるとますます良くて驚いた。どうしよう、あの人、ハンディマイクは窮屈かもしんない。とドキドキした。というより私が今後満足できないかもしれない、そんなあらぬことまでよぎった。今すぐマイクを置いてくれ、とすら思った。響きすぎてもんやり聞こえたのもあるかもしれない。もったいない。

それくらい全身で歌う彼の歌声は別格だった。舞台人なんだな、という言葉じゃ全然足りない。つよくて、のびやかで、すこやかで、さわやか。空気に溶けて、3階席でも満ちてくるゆたかさを感じた。そのせいか、そういうシーンを思い出そうとすると絶対あの場から見えていた姿より数倍大きい姿が浮かんでくる。瞳孔すっごい開いていたのかも。何度か、会場めいいっぱいに彼の声が行き渡って、すべてがその歌声に包まれて、幸せだった。

役の想いやそれに対する坂本さん自身の想い、愛が、どの曲にもどのフレーズにも載っていた。上品で紳士さが滲み出ていた。V6での歌い方(発声のしかた)とか、意識する・しない別としてそれぞれ使い分けていると風の噂で聞いたことがあった。それも間違いないと思ったけれど、あのステージを観たら、ただ、単純に歌詞に懸ける想いが段違いなんだろう。そう思わざるを得ないくらい、歌に役に沈み込む坂本さんは凄かった。

だから、想いが強すぎてしまったのかな、なんて夢見がちなことを思う。

 

今回の公演中2度歌詞が飛んでしまった坂本さん。

そりゃあ完全なものが観たいと残念な気持ちもあった。

HOPE(Zorro)の時はマイクの調子が変になったのかと思った。

それでもHOPEは素晴らしかった。本当に素晴らしかった。彼はこれからも「歌い続ける」。それはファンからしてみればこの上ない輝きを放つ希望の歌。力強く、確かな未来を信じさせてくれる、特別な歌になった。

もうひとつの、One Song Groly(RENT) の並々ならぬ熱意と、だからこその悔しさは胸を抉るような傷をつけていった。悔しくてもどかしくて、辛くて苦しい時間。

本来は、もっとうまく対処するべきだったのかもしれない。

ステージの真ん中で、ビッグバンドの音楽だけが鳴り響くあの場所で、突然縛られたかのようにもがき苦しむ姿はもう。なんだろう。お互いに深手を負い、目の前で大量の血を流しているのに助けられない状況のようで。

”Groly” と振り切るように歌を再開した彼に涙が出そうになった。

 

~~~~~~※ちょっと自分語り↓

ツイッターで抑えきれずぽろぽろこぼしたのだけど、RENTは特別な作品。音楽は全部がカッコよくて全然古くないし、登場人物も全員イキイキしているし、それでいて全編通して痛々しくて大好きだ。それこそ、生きることは痛々しくそして素晴らしい。勝手に代名詞だと思っている、二幕があけた時のSeasons of loveの景色。つまりはOMSでもそうだった、スタンドマイクで全員横並びの構図のかっこよさ。

ネタばれでSolを歌うことは知っていたけれど、まさかOne Song Grolyを歌ってくれるとは思っていなかった。死の恐怖と焦りと、葛藤し続けるロジャーの曲。完全な予想外。青春群像劇のRENTを過去の自分と重ねて、と言っていた。雑誌で名前を挙げてくれただけでも嬉しかったのに、熱望ぶりには驚いた。

~~~~~~

血の約束と言ったら重すぎるだろうか。

いつか、近い将来に必ずRENTを見せてほしい。たとえロジャーじゃなくたっていいから、心底悔しそうに「素晴らしい歌詞なんだ」と言った、その空白を埋めてほしい。坂本さんを信じるから。

余談だけど終演後、年齢問題に触れるひとがいた。ロジャーをやるなら、相手役のミミは19歳設定があるからお早めに、ということで。何となしにオリジナルキャストのアダムパスカルを調べてみたらなんと70年生まれの45歳。09年のパンフで本人も年齢はさほど問題じゃないって言ってるし。い、いけるよ坂本さん! ていうか年齢設定あるのミミだけだからそもそも大丈夫だったよ坂本さん。

聴き慣れない日本語版のSeasons of love だったけど、ソロを歌い上げる坂本さん気持ちよさそうだった。(だからコリンズもいいと思っちゃったり)

超妄想だけど、前線に出て戦う大将と兵士みたいな感覚になった(それは流石に私だけだと思うが)。一度不覚にも敗走した後で、リベンジを誓うみたいな。そういうわけで、私はなぜだか士気があがっている。ぜひとも大声で”サンキュージョナサン!” と叫ばせていただきたい。

 

こういう劇鑑賞のマナーってわからないことだらけだから当然周りに合わせるんだけど、スタオベをするか少し迷ったことも一応書いておく。上記のとおり私がコーフンしっぱなしだったことに間違いは無い。けれど、さすがにあのミスの後でスタオベは坂本さんにむしろ失礼にあたるんじゃないかと思ったり。でも、でも、と迷ううちに結局立ち上がってめちゃくちゃ拍手してたんだけど。自分の行動に異論はない。

あとこれもぜひ書いておきたい。坂本さんがはけている間、ほかのキャストが主役となって歌ってくれていたのだけど、そこで最初に手拍子をしてくれた方に感謝を。すっかり聴き入っていたのもあるし、合いの手(手拍子)って初心者には難しいのだ。初めて行った歌舞伎でいきなり「よっ、成田屋!」とか叫べないのと同じ。でも数倍盛り上がることは必至なわけで、その先陣を切る素晴らしいお客様がいて良かったなと思った。

2時間弱かけて「ミュージカルを愛する男」の過去を振り返り、未来の道筋まで示してみせて、最後は「僕はここにいる」だってさ。愛してる、とか言ってさ。呆けた頭で「こちらこそ」って思ったよね。構成が良すぎてむしろ心配になった。まるで『One Man Standing』は主演キャスト名:坂本昌行というミュージカルのようだった。

けれど、これはミュージカル作品ではない。彼はこれからも誰かを巻き込みながら、新しい世界を魅せ続けてくれる。

とっても凡庸なことを書くけど、 見る側が夢のようだと思っていたステージは、演者には夢の出発点だった。

 

◆◇◆◇◆

 

ソロ・ミュージカルコンサート

One Man Standing

 

って何だったのか。

うだうだ覚書を連ねてきたけど、まとめ。

『双眼鏡を覗いたらそれはそれで勿体無いと思ってしまうくらい素晴らしいビッグバンドとキャストが彩る贅沢極めたエンタテイメント』

 

 

坂本さん、全3日間 4公演お疲れさまでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタにばかりされているけど、

Baila Meめちゃくちゃ格好良かったよ!


***追記

この公演に剛くんが来ていたそう。

さかごーさかごー鳴いてる私の頭の半分は「だから舞い上がっちゃったのね〜そりゃ嬉しいよね〜」と平和な妄想していたけど、もう半分の頭で「いやそれマジで失礼だわ」と叩き伏せてた。


千秋楽、大成功だったそうで。

流石の一言だよ。

次のミュージカルがますます楽しみ。